今日の患者様は80代の女性で、上が総義歯の方でした。
「入れ歯の奥の方があたって、えずく」と言うのが最初のお話でした。
えずく:吐き気。「おえー」っとなる感じ
「入れ歯のあたっている部分(口蓋部)をえぐり取って欲しい」と仰り、
更に「外れない入れ歯作成して欲しい」というご希望でした。
外れない入れ歯となると、インプラントしかないのですが
80代という年齢を考え、インプラントの埋入本数が少なくなるよう設計し
オペの負担をなるべくかけないようにしました。
まず、インプラントを4本埋入。
そこにドルダーバーを装着するオーバーデンチャータイプを考えました。
(オーバーデンチャーのための リジッドな連結装置)
CTを確認すると、左右とも上顎洞底までは2mmほどしかなく、
前歯部も2mmほどしか厚みがない状態でした。
が、CTをよくよく見てみると、3番4番部には何とか直径3.3mm長さ8mmが埋入出来そうな骨がありました。
シンプラントでシュミレーションし、サージガイドを発注。
で、今日のオペを迎えた訳です。
事前の血液検査や血圧等に、特に問題のある方ではなかったのですが、
80代という年齢のことを考え、静脈内鎮静をすることにしました。
歯科で用いる静脈内鎮静は、医科のオペで用いる全身麻酔とは異なります。
全身麻酔は完全に眠ってしまっている状態で、人工呼吸が必要です。
静脈内鎮静は高ぶった気持ちを落ち着かせる程度の軽い睡眠状態です。
鎮静の薬剤の効き方には個人差があり、治療の全てが分かる人もいれば
どんな治療だったのか、一切記憶にない人もいます。
ただ、こちらからの呼びかけには反応出来る程度の意識はあります。
そうでないと、治療中に口を閉じられてしまっては困りますからね。
患者様をドルミカムで鎮静し、サージガイドを使い、
ストローマンSLActiveを4本埋入しました。
オペ自体は非常にスムーズで、何事もなく無事に終了致しました。
あとは4か月後、オーバーデンチャーの作成に取りかかる予定です。